小児の股関節痛が重要な理由
・症状がはっきりしないこと
・時に膝・大腿痛を訴えること
・重大な疾患が隠れていること
・早期の、専門的治療が必要になる場合があること
単純性股関節炎
・3 - 12歳くらいの幅広い年齢層
・男児に多く発生
・風邪や激しい運動の後に発症
・跛行や膝痛を呈することが多い
・関節水症(水が溜まる)が原因
・安静により軽快(数日から2週間)
ペルテス病
・4 - 8歳くらいで発症
・男児に多く発生 (6:1)
・10万人あたり1人程度
・大腿痛や膝痛を訴えることが多い
・血行途絶が原因 (骨頭が壊死)
・装具や手術が必要(3 - 5年の治療期間)

大腿骨頭すべり症
・10 - 15歳で発症
・10万人に3人程度
・ホルモン異常に起因する
・大腿痛や膝痛を訴えることが多い
・大腿骨近位骨端線の脆弱化が原因
・手術が必要になることが多い

その他の疾患 @
白血病
整形外科外来を初診する場合が20%
疑わないと診断が遅れる
初診時臨床症状
蒼白 | 78.7% |
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発熱 | 55.7% |
出血傾向 | 55.3% |
脱力感 | 35.2% |
食欲不振 | 27.0% |
整形外科初診時の主訴
跛行 | 56% |
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腰痛 | 25% |
下腿痛 | 25% |
膝痛 | 12.5% |
多関節痛 | 6.3% |
その他の疾患 A
ユーイング肉腫
整形外科悪性疾患の第2位
抗がん剤、手術が必要
複数の整形外科で見落とされた小学生女児(跛行が主訴)


まとめ
・股関節疾患にとらわれない
・疑って診察を進める
・必ず経過を追って診断する
・重要な病態が疑われる場合、躊躇せず紹介する