サルコペア
サルコペアについて加齢に伴う筋力低下をダイナぺニアと言い、これに骨格筋量低下が加わったものをサルコぺニアと言います。
これら加齢による骨格筋の機能低下は運動機能の低下を招き、日常生活活動の制限因子となることや、転倒の主因となることが知られています。
フレイル
フレイルについてフレイルとは運動の予備能力が低下し種々のストレスに対して脆弱な状態にあることを意味します。
言い換えると剛健と要介護の中間の状態であると言えます。
つまり、近い将来要介護状態になるリスクが高い一方で、適切な介入によって剛健な状態へと改善する可能性もある状態です。
フレイルの項目
◆体重減少
6ヶ月間で、2〜3s以上の体重減少がありましたか?
◆活力低下
(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがします。
◆活動度減少
軽い運動・体操を1週間に何日くらいしていますか?
◆握力低下
男性26s未満 女性18s未満
◆歩行速度低下
歩行速度 1秒間に1m未満
筋力と骨格筋量の加齢変化
加齢変化開始年齢筋力と骨格筋量の加齢変化はいつ頃から始まるのでしょうか?
ある研究によると20歳代と比較して70歳代で下肢骨格筋力が7%減少するのに対して、膝の筋力は15%程度も減少すること、また高齢者の骨格筋量が1年間に1%ずつ減少していくのに対して筋力は5%ずつ低下するとされています。
また骨格筋量に着眼した報告によると遅くとも50歳以降には筋力、骨格筋量ともに加齢による機能低下が起こり始め、50歳から70歳の20年間で筋力が15%程度、骨格筋量が10%程度減少するとされています。
筋力と骨格筋量の加齢変化のメカニズム
なぜ、骨格筋量は加齢に伴って低下するのでしょうか?
種々の要因が考えられていますが、大まかには筋タンパクの合成力と分解力が崩壊した状態を挙げられます。
骨格筋は筋タンパクの合成と分解を日々繰り返しており若年者ではこのバランスがほぼ一定に保たれているが、高齢者では分解力が合成力を上回ることで 骨格筋が萎縮すると考えられています。
加えて加齢に伴う筋力低下に関しては運動単位数の減少や神経伝導の問題などにより十分な出力を発揮できないということも考えられています。
レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニングとはレジスタンストレーニングとは、局所あるいは全身の筋群に負荷(抵抗)を与え、筋力・筋パワー・筋持久力といった骨格筋機能の向上に主眼をおくトレーンング手段の総称と定義されています。
従来の筋力トレーニングや筋持久力トレーニングの要素を包含して、レジスタンストレーニングと表現することが一般的になってきています。
レジスタンストレーニングの効果
高齢者であってもトレーニングの実施によって筋力増強や筋肥大の効果が得られることがわかっています。
一般的に中高年者を対象としたトレーニングにおいてはできるだけ多くの筋群を対象とし、日常生活動作における手働筋を中心に行うことが大切です。
高齢者のレジスタンストレーニングの負荷量としては、自覚的運動強度が12〜13(ややきつい)になるようにまず反復回数を増加させ、次に抵抗を増加させていきます。
セット数は、まず1セットから始め適宣増加させていく方が筋力の向上に有効であるという報告もあります。
近年の研究報告からみると、高齢者に対しては65〜80%の負荷量で、1日に8〜10回を1〜3セット週2〜3日行うのが基本的な目安と考えられています。
レジスタンストレーニングの実際
さまざまなトレーニング方法がありますが、ここでは自重を用いたトレーニングについて紹介します。
これらの動作で用いられる筋群は大殿筋・大腿四頭筋などの抗動筋なので、高齢者の方々の日常的な立ち上がりや歩行動作に対する効果が期待されます。

最後に
トレーニングは無理のない範囲で行い(ややきつい程度)、慣れて楽に感じるようになったら反復回数を増やすようにして、日常生活動作に必要な筋力の低下を防ぎ、健康寿命を延ばすよう心がけましょう。