骨粗鬆症とは

また、近年は骨折をきたさなくても、骨粗鬆症自体が腰背部痛の原因になることがわかっています。骨量測定で骨粗鬆症と診断されれば、痛みない生活を送るために積極的な治療を行うべきと考えます。
治療の意義
治療の目的は、脆弱性骨折の予防によってADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を維持することです。そのためには骨量を増加させ、かつ骨折の1番の原因となる転倒を予防することが大切です。治療の実際
- 1.食事療法
- バランスの良い食事
カルシウムやビタミンD摂取のみにこだわらない - 2.運動療法
- 買い物や散歩など自然な運動
過度な負荷や、反動を利用する運動は避ける - 3.日光浴
- 1日30分の日光浴を
冬は30分、夏は10分で可、皮膚がんの危険性はこの程度では上がらない
薬物療法の実際(主たるもの)
- 1.ビタミンD
- カルシウムの吸収を促進する
筋肉に作用し転倒も予防できる - 2.ビスフォスホネート
- 骨吸収(骨量減少)を抑制する
月1回製剤がメイン、ビタミンDとの併用が効果的、最近はより効果的な注射もあり。 - 3.副甲状腺ホルモン
- 週1回、または毎日の皮下注射
高価である、また一生のうち2年間のみ使用可(使用時期を考慮すべき)
転倒なく通常の歩行で骨折した症例(恥骨骨折)

転倒なく通常の歩行で膝痛が生じた症例(脛骨不全骨折)

転倒など外傷のなく通常の日常生活で腰痛が持続する症例 (脊椎多発骨折)

尻もちをついてから腰痛が出現した症例(脊椎破裂骨折:麻痺の危険性あり)

治療の必要性

最後に
骨粗鬆症の治療は、すでにガイドラインが示されており、これに従って標準的な治療を行うべきです。しかし、患者さんの病態は一人一人で異なっており、個人により合った治療方針が適応されるべきでしょう。食事や日光浴、軽めの運動に薬物療法を組み合わせて、楽しみながら、根気強く継続することが大切です。